令和7年ホタルイカ漁況の見通し

Y1239

富山県農林水産総合技術センター
水産研究所

本年のホタルイカの総漁獲量は、平年(平成27~令和6年の平均漁獲量:1,498トン)並みと予想される。

根拠に用いた情報

  1. ① 1月上旬~2月中旬におけるホタルイカの県内漁獲量(平成16~令和6年の平均:0.8トン)は、その年の県内総漁獲量と類似した傾向があり、ホタルイカの湾内への来遊状況を反映している可能性がある。本年は、過去と比較して低位水準の 0.2トンであった。
  2. ② 2月後半に漁業調査船「立山丸」を用いて富山湾内で実施した中層トロール調査でのホタルイカの採集個体数(平成16~令和6年の平均:5.3個体)は、その年の県内総漁獲量と類似した傾向があり、ホタルイカの湾内への来遊状況を反映している可能性がある。本年の採集個体数は、過去と比較して中位水準の 5.3個体であった。
  3. ③ 漁獲前年の秋から漁期直前にかけての日本海沖合の海流データに基づいて、来遊のしやすさを数値化すると、その年の県内総漁獲量と類似した傾向があり、ホタルイカの湾内への来遊状況を反映している可能性がある。本年の指標は、過去(平成16~令和6年)と比較して低位水準であった。
  4. ④ 富山湾でホタルイカの漁獲が最も多くなる時期の漁場水温は 11~13℃とされており、春季の気温が高く水温の上昇が速い年は漁期が短くなることが推測される。北陸地方の3~5月の平均気温と県内総漁獲量を比較したところ、平年よりも気温が高い場合には漁獲量が少なくなる傾向がみられた。気象庁の発表では、本年の北陸地方における3~5月の平均気温は平年並みか高くなると予想されている。

 このように本年の富山湾へのホタルイカの来遊状況は、①~③より低位または中位水準である一方、漁獲条件(漁期中の水温環境)は、④よりあまりよくないことが想定される。これらの指標と過去の漁獲量との関係から導き出された計算式では、本年のホタルイカの県内総漁獲は1,188トンと計算された(図1)。

2025年ホタルイカ漁況の見通し