富山県農林水産総合技術センター 水産研究所
本年のホタルイカの総漁獲量は、平年(平成22~令和元年の平均漁獲量:1,451 トン)を上回ると予測される。
根拠に用いた情報
- 1月上旬~2月中旬におけるホタルイカの県内漁獲量(平成4~令和元年の平均:0.6トン)は、その年の県内総漁獲量と類似した傾向があり、ホタルイカの湾内への来遊状況を反映している可能性がある。本年は過去と比較して中位水準の1.0トンであった。
- 2 月下旬に漁業調査船「立山丸」を用いて富山湾内で実施した中層トロール調査でのホタルイカの採集個体数(平成4~令和元年の平均:15.0個体)は、その年の県内総漁獲量と類似した傾向があり、ホタルイカの湾内への来遊状況を反映している可能性がある。
本年の採集個体数は、過去と比較して中位水準の4.7個体であった。 - 富山湾でホタルイカの漁獲が最も多くなる時期の漁場水温は11~13℃とされており、春季の気温が高く水温の上昇が速い年は漁期が短くなることが推測される。北陸地方の 3 ~5 月の平均気温と県内総漁獲量を比較したところ、平年よりも気温が高い場合には漁獲量が少なくなる傾向がみられた。気象庁の発表では、本年の北陸地方における3~5月の平均気温は平年と比較して高くなると予想されている。
このように、本年は、富山湾へのホタルイカの来遊状況は中位水準である一方で、漁獲条件(漁期中の水温環境)はあまりよくないことが想定され、上記の関係から導き出された計算式では、本年のホタルイカの県内総漁獲は1,704トンと計算された(図1)。