平成28年ホタルイカ漁況予報

富山県農林水産総合技術センター
水産研究所

本年のホタルイカの総漁獲量は、
平年(平成18~27年の平均漁獲量:1,793トン)並みの1,800トン程度と予測される。

根拠となった情報

  1. 前年5月の山陰沖における水温指標値(水深100m層における14℃以上の水温域の広さ)は県内総漁獲量と増減傾向が類似しており、ふ化および幼生時の水温環境が資源水準に影響を与えている可能性がある。昨年5月の水温指標値は259であり、平均値(平成4~27年の平均値:194)を上回った。
  2. 2月中旬までの漁獲水準は(平成4~27年の平均漁獲量0.7±0.5トン(±95%信頼区間)に基づいた水準)県内総漁獲量と類似した傾向があり、来遊状況を反映している可能性がある。本年は平均を下回る低位水準(0.1トン)であった。
  3. 2月下旬に実施した漁期前調査における採集個体数水準(平成4~27年の平均採集個体数17.3±14.7個体(±95%信頼区間)に基づいた水準)は県内総漁獲量と類似した傾向があり、来遊状況を反映している可能性がある。本年は平均を下回る低位水準(1.0個体)であった。
  4. ホタルイカの漁獲最適水温は11~13℃とされており、気温が高く水温の上昇が速い年は漁期が短くなる可能性がある。北陸地方の3~5月の平均気温と県内総漁獲量を比較したところ、平年よりも気温が高い場合には漁獲量が少なくなる傾向があった。気象庁の発表では北陸地方の3~5月の平均気温は高くなることが予想されており、ホタルイカの漁獲環境としてはあまり好適ではない可能性が示唆される。

以上の根拠から、本年のホタルイカは、ふ化および幼生時の環境条件は好適であったとみられるが、富山湾への来遊状況や漁獲条件はあまりよくないことが想定される。 ホタルイカの漁獲量予測モデルから本年の漁獲量を計算したところ、平年並みの1,800トン程度と予測された。

富山湾のホタルイカ漁の風景